平凡情弱高学歴が、ベンチャーに行ってみて。

スローガン株式会社。セールス→キャリアアドバイザーチームのマネージャー→新卒採用担当。官僚志望だった平凡な東大生が、新卒でベンチャーに入ってみての話や、採用周りの話を綴ります。

優秀な人を採用したいなら、優秀な人を求めるな。

最近書評ブログになりかけていたので、たまには採用の話を。

 

「事業をさらにドライブさせたいので、より地頭の良い人を採用したい」

「学歴水準を上げたい」

というオーダーをよくいただきますし、自分も自社の採用をやる中でこうしたテーマは必ず考えます。

でも、本当にそうなのか?と。

特にベンチャー企業での優秀さは、いわゆる地頭的優秀さとの相関が弱く、マインド的優秀さや価値観フィット度との相関が強い。

 

"スペック採用の罠"とは良く言ったもので、成長企業のHR面で陥りがちな課題だと思います。世の中的に、優秀さ=思考力やコミュニケーション力というイメージが強いので、優秀=能力がある、と考えることが多いです。

けど実は、思考力的な優秀さよりも、「中々結果が出ない中でも折れずに取り組み続ける」優秀さや、「何をしたら良いかわからない状態でも、パニックにならず何をすべきか考えられる」優秀さの方が重要かもしれません。

 

ただ、そうした地力は、見極めるのも難しいし、要件として言語化するのも難しいんですよね。だから後回しになりがち。

そこを踏ん張って、「うちで活躍する人は、価値観やマインド面では〜な人、能力面では〜な人」かつ、「選考のここの部分で〜を見極められる」と落とし込めれば、採用した人の活躍可能性を上げられる。

 

じゃあどうするんだということですが、見極め方の選択肢としては、

1.選考ステップを変える(インターン選考を挟む、適性検査を入れる)

2.面接選考での見極め精度を上げる(参考:『コンピテンシー面接マニュアル』

かと思います。見極めると決めて定義すること自体が重要だったりするので、この辺は深く立ち入らずに終えたいと思います。

 

"誰をバスに乗せるべきか?"

特に成長過程で、育成にそこまで手をかけられない!という会社ほどこだわりたいポイントですよね。

書評『プロフェッショナルマネジャー』

また書評です!今回は、柳井社長もバイブルにしていた『プロフェッショナルマネジャー』です。

特に学びだったものを抜粋しつつまとめました。

本を読む時は、初めから終わりへと読む。ビジネスの経営はそれとは逆だ。終わりから始めて、そこへ到達するためにできる限りのことをするのだ。

冒頭付近で、「最重要な経営のポイント」として挙げているのがこの文章。シンプルですが、理想を描いて徹底的に到達するという本質を記しています。ボトムアップにやれることをやっていても経営と言えず、理想だけ掲げていても経営と言えず、理想をゴール志向に高く掲げて徹底して達成すること、それこそが経営である。

経営者は経営しなくてはならぬ。経営において重要なのは結果である。意味があるのは、所期の結果を達成したか、しなかったかということだけだ。そして経営者は自分の責任範囲のあらゆる活動をしっかり掌握していなくてはならない。

個人的に、ここが一番強く心にきた文章。自分の管掌する事業と企業活動に関わることを、メンバー個々人の活動や数字の些細な違和感にまで踏み込み、達成に向けて全力を挙げるべし。

業界と同業者たちによってつくられた基準もあるだろう。しかし、そんなものより彼自身こそが、自分がどれだけ立派な仕事をしているかの最良の判定者である。彼自身が基準を定め、それらを達成するように経営をおこなわなくてはならない。

これは、意思決定そのものが正しいかどうかを問うよりも、正しくするために考え抜き、覚悟を持って決めているかどうかを重視すべき、という文。

それ自体が誤りである決定を下すことはほとんどないが、誤った、もしくは誤りに導く、あるいは見落とされた事実に基づいて正しい決定を下すことによって、物事はおかしな方向へ向かって行ってしまう。

考え抜いて決断した方針が、そもそも誤った市場や顧客理解だったり、誤った仮説に基づいていて、はじめは気付かなくとも後々大きな問題になっていく、というもの。如何に事実理解を正確にするかが重要。

人は失敗から物事を学ぶのだ。成功から何かを学ぶことはめったにない。成功は失敗よりずっと扱いにくいもののように思える。なぜなら、それをどう扱うかは、まったく本人しだいだからである。

失敗からは学べる人が多いが、成功して緩んでしまう人は一方で多い。ある程度成功したと周りの人や市場から評価されているときにでも、自らの基準を高く持ち、ブラさずにいられるかどうか。

数字相手の苦行は、じつは自由への過程なのだ。数字の徹底的検討は、われわれが自由に勇気をもって行動できるようにしてくれた。事実を正確に伝える、上等な数字がそうさせてくれるのだ。

そして「経営者として経営する」ために、ゆるぎない事実を掴むべしと言う。その事実の掴み方の1つが数字。数字の定義ズレを徹底的に無くし、その裏側の動きを深掘り理解を深めること。

キャリアアドバイザーへのお勧め本4選!

人材紹介業って労働集約型で、働いている方のモチベーションが不安定になりがちだなと感じています。

この記事は、お勧め本を通じて、人材紹介に関わる人にとって「突き詰めれば付加価値が高く、横展開できる仕事だ」と思うきっかけになればなと思って書いています。

 

▼お勧め4冊!

『大型商談を成約に導く「SPIN」営業術』

『チャレンジャー・セールス・モデル 成約に直結させる「指導」「適応」「支配」』

『プロカウンセラーの共感の技術』

『サピエンス全史』

 

『大型商談を成約に導く「SPIN」営業術』

SPINは営業のバイブルです。突飛なことは決して書いてありませんが、かなり基礎的なところを丁寧に理論化して体系立てて書いてくれている本、という感じでしょうか。

「人は自分で話したことにしか説得されない」「特徴ではなく顧客にとっての利益を語る」

といったポイントを簡潔にまとめてくれています。

キャリアアドバイザーでも、基本は相手の言葉を適切に拾っていくことが大事。その基本になる本当です。

 

『チャレンジャー・セールス・モデル 成約に直結させる「指導」「適応」「支配」』

チャレンジャーセールスでは、顧客は自らのニーズを知らないとして、真に顧客のニーズを考え抜いた上で支配すべし、と記しています。

そこに至るまでのプロセスは、指導(顧客にインサイトを与える)→適応(顧客の価値観にカスタマイズして話す)→支配(顧客の課題感や解決策検討など全てコントロールする)。

実際、キャリアについて考えるといっても、十分な情報を知らなかったり、自らに対する理解も偏っていたりとチャレンジャー的アプローチが効果的なタイミングも多くあると感じます。

 

『プロカウンセラーの共感の技術』

ここまではセールス本を紹介してきましたが、本当に相手がやりたいことや、人生で重視していることを汲み取らない限り良いキャリアアドバイザーとしてのパフォーマンスは出せないでしょう。

相手と話していて感じたことやふとした違和感から、相手が言語化できていないけど実は思っていることを汲み取る。

技術というよりは真剣に向き合うことによって生まれることかもしれないですが、一番重要なことなのではないかと思います。

 

 『サピエンス全史』

キャリアアドバイザーとしてのパフォーマンスを上げるには、対面コミュニケーションだけでなく当然様々な知識も必要ですが、その中でも人類学は結構効くんじゃないかと思います。

まあ、ビジネス理解、業界理解も当然必要ですが。

キャリアに向き合って仕事をしている者として、最低でも人間理解の面で突き抜けることは求められるのでは、と。

あまりに有名なので内容は割愛しますが、こうした、人の行動履歴を歴史から紐解く視点も、重要だと思います。

 

絞りに絞って4冊にまとめてみました。キャリアアドバイザーは、突き詰めると非常に付加価値の高い仕事にできると思います、少しでも役に立てば幸いです。

書評『巨大投資銀行』

またまた書評!少し前の本ですが、黒木さん著作の巨大投資銀行

 

主人公の桂木が都銀の凝り固まった人事制度に愛想を尽かして退職、モルガンに転職して徐々に成功していくまでの道のりを記した本。上下合わせて1000ページ強ですが、さらさら読めました。

 

見どころは、以下の3つかと。

・市場、業界を取り巻く政治や経済の潮流

・トレーダーやセールスたちの緊迫感溢れる業務の様子

・その中でキャリアを悩みながら築いていく思考プロセスと考え方

 

バブル崩壊の気配を感じ取るのがイラク戦争だったり、伝説のトレーダー明神さんを模した竜神が、マーケットの歪みを見つけてアービトラージ仕掛けていく様子だったり、日米関係の是正が投資銀行や邦銀に与える影響だったりと、政治や経済からモロに影響を受けている様子が描写されてます。

その中で、一刻一刻変わる市場の様子を読みながら、何千億単位の勝負を仕掛けたり、法人相手にハードな交渉をしたりとかなり緊迫感が伝わってくる内容。

そして、容赦なくクビを切られていく社員、ボーナス金額の莫大さ、キャリアの不安定さといった点で邦銀の描かれ方とは対極。マネジメントスタイルは、金銭報酬とトップダウンの指示によるもので、スーパープレーヤーが昇格していくプロモーションの考え方。

 

読んでみて、仕事で扱う金額スケールの大きさや緊張感に面白みを感じたのですが、同時に金銭的報酬と強く結び付いた仕事、金で金を生んでいくあり方などを見て、個人的には自分がやりたいかと言うとピンと来ない、とも同時に思いました。

事業を創るというよりも、事業があるところに、さらにビジネスとしての強さを乗っけていく仕事としての面白みを強く感じています。

書評『NETFLIXの最強人事戦略』

書評第2弾です。

少し乗り遅れましたが、ネットフリックスの本を。元ネットフリックス最高人事責任者のパティ・マッコードによる著書。

  

1.リーダーの役割、自由と責任の文化

2.自由と責任を創るための基盤

3.今この瞬間から、ゴール志向で会社をつくる

4.人材の質に妥協しない

5.人材への考え方を、制度に落とし込む

 

 

1.リーダーの役割、自由と責任の文化

ビジネスリーダーの役割は、"素晴らしい仕事を期限内にやり遂げるような優れたチームをつくることだけ"である。

リーダーの役割を、チーム創りに限定しているのがポイントだと思います。プレイングマネジャーであることを求めず、フォーカスしている。この本では、ネットフリックスがかなりドラスティックに、メンバーのパフォーマンスを最大化し強い組織を築く仕組みにしていることについて書いていますが、このリーダーの役割定義にもその一端が見えます。

 

 2.自由と責任を創るための基盤

有給休暇制度を廃止し、経費規定も廃止し、慣行を次々と廃止して社員に委ねるようになっていった。年次計画策定も廃止し、四半期計画だけにした。このような計画や承認の廃止があった分、事業の状態、市場環境などを徹底的に伝える。

何かを任せる、意思決定してもらうにはメンバーの力が追い付いていない、という話をよく聞くが、ではネットフリックスは何故それができたのか?計画をこれだけ廃止しては行動の優先順位が揃わなくなる、と思うところ。次に挙げる文章がポイントかと思った。

 

子どものサッカーは初め、ただボールに群がる。パスを理解できるようになるのは、それが成されているゲームを俯瞰して見てからだ。事業や組織も同じで、実はチグハグでも、当事者は気付かない。だから、事業モデルやポイント、競合環境や厳しさについてちゃんと伝えよう。

「事業理解が乏しく行動の精度が低いと思うのは、それを上げられるほどインプットできていないからだ」という一文。ここまで徹底して考えているのは凄い。

 

3.今この瞬間から、ゴール志向で会社をつくる

「今のチームが理想のチームでないことで、失われている成果はないか?」「今から半年後、史上最高のチームを組織して、信じられない業績を達成している。その時の仕事のやり方は?そして、その絵を実現するにはチームにどんなスキルが必要か?」

人は今の延長線上に未来を想像しがち。だからこそ、非連続な成長を生むため、普通は想像しにくい未来を考えて逆算しようという話。 

 

従業員のキャリアマネジメントに、会社は責任を持たない。社外も含めてきちんと可能性を検討すべきだ。

また、非連続な成長を生むということは、今活躍しているメンバーが将来最適なメンバーでは無くなる可能性があるということ。メンバーのためにも会社のためにも、個人のキャリアと会社のフェーズを切り離して考えるべし、という提言だと考えた。

 

4.人材の質に妥協しない

全ての仕事に、まずまずではなく最適な人材を採用せよ。また、合わないと判断した人材は進んで解雇せよ。単なる定着率ではなく、必要なスキルと経験を備えた人材の数を追うべし。

採用を人数で捉えず、圧倒的な質を追い求めよ。組織の中にいる人材の質についても、今のフェーズとの合致度の高さもあわせて見るべし。

 

目標の達成確度もわからないのに、業績連動ボーナスを設ける必要があるのか?だったら、魅力的な会社にすることにコストをかけるべきだ。

給与はメンバーのモチベーションを引き出すためのものとは捉えていない。結果として大金を払うが、訴求ポイントは給与じゃないという意図の文面。

 

採用面接は、役員会の出席者が会議を欠席または中座してよい唯一の理由だった。優秀な人材がいる、それだけで会社の業績が上向くのだから、事業にコミットしている人、事業に精通している人が採用にあたるべきだ。

それだけの高い質の人材を、給与以外の点で惹きつけて採用するために、課題の魅力度・人材の濃度の2軸で採用にあたる。ユニークかつ社会的影響力の大きな課題に対して、主体的に、かつ優秀な仲間と解決に当たることができるというポイント。そのために採用担当は事業理解を重視され、また事業責任者も採用に対する優先順位を圧倒的に上げている。 

 

5.人材への考え方を、制度に落とし込む

給与制度と人事考課のプロセスを切り離した。給与は、市場トップレベルの水準で払い続けている。

人事考課による評価を元に給与を決めるのではなく、市場でトップレベルの報酬を払う。この部分は流石にビジネスモデルによるのではないか、と思ってあまり腹落ちできていないが、ネットフリックスのこだわりの強さが伺える。

 

「この従業員が情熱と才能をもっている仕事は、うちの会社が優れた人材を必要とする仕事なのか?」

解雇に対する考え方のベースを書いたこのテキスト。何が不得手なのかを考えるのではなく、メンバーの潜在能力を考えて解雇を考えよ、というもの。この本では、一貫して「今いるメンバーで最大のパフォーマンスを出す」のではなく、「最高の組織と今のメンバーを比較する」という思考になっている。ゴール志向を徹底できるかどうか、それに尽きるということだと感じた。

キャリアアドバイザーも、けっこう成長できるよねという話

キャリアアドバイザーという仕事をやっていてどんな成長ができるのか?と疑問に抱く方も多いようで、友人からも「スキルアップのために転職したい」など相談をちょくちょく貰います。でも突き詰めたら、けっこう汎用的な力が付くと思うんですよね。

やってみて感じたことですが、対人(面談)スキルと対コト(面談外)スキルが大きく分けると身に付きます。なお、新卒紹介を念頭に置いて書いてるので、転職エージェントとは少し感覚が違うかも。

 

1.対人スキル

面談時に求められる対人スキルは、「いかに信頼関係構築をし」「相手の潜在的なニーズを含めてキャリアニーズを引き出す」かの大きく分けて2つ。信頼関係構築とヒアリングという2つですね。

特に難易度が高いのが、「この人は人生で何を重視したいのか?」が言語化されていないケースが多いこと。これをちゃんと深掘りに行かないと結局納得の行かないキャリアになってしまうので、一番大事なポイントです。僕の場合は、SPIN・チャレンジャーセールス・カウンセリング的アプローチの3つを組み合わせて使っているイメージでした。この3つを活用するのってセールスと同じ考え方ですよね。特にB2Bセールスで、中価格帯の商材を扱っているときと似てると思います。少なくとも同じスキルを使ってる感覚ありました。僕が元々セールスを経験してからキャリアアドバイザーになった、というのもあるのだと思いますが。なので、極めようによっては、少なくとも幅広くB2Bセールスのキャリアには活きるはず。

 

2.対コトスキル

続いて対コトのスキルだと、特に「分析的思考」「論理的思考」「逆算思考」の3つが身に付きます。

分析的思考をもう少し詳しく言うと、「この人が重視しているキャリア志向性は何故形成されたか?」「この人の強みはどこで、どんな仕事だと活かしやすそうか?どこに行ったらシアワセか?」など、人の思考や特徴について分析したり深掘る思考のことを指して言っています。企業のビジネスモデルやカルチャーなどの違いから、活躍する人の特徴を推察しようとする思考、なども当てはまりますかね。

論理的思考はそのまんまで、具体/抽象の上げ下げや因数分解をする思考。

逆算思考は、その人の活躍シーンや入社シーンのイメージから、今何をすべきかに落とし込むゴールドリブンな思考のことを指してます。ストーリーに落とす力とも言い換えられるかな。

このあたりは、当然ですがマネジメントシーンでも求められますし、個別化/逆算が求められるような業務には広く転用できます。

 

こんな感じで、セールス/マネジメントなど様々なキャリアに活きるベーススキルが身に付く仕事だと思います。ただ同時に、人事に移るにはエージェント側の価値観が染み付いていたり、セールスに移るにはお金の匂いがしなかったり、マネジメントに移るには組織側の関心が高くなりすぎたり、とマイナスポイントもあるので、キャリアチェンジするなら確かに早めの方が良いかもですね。

大手とベンチャー、どっちが成長できますか?

ベンチャーか大手か。どっちの方が成長できますか?とよく学生さんから聞かれます。

今回は、こんな迷いを持ってる方向けに、自分自身が新卒でベンチャーに入ってみて良かった/困ったこと+キャリアアドバイザーとしてキャリア相談に乗る中で感じたことを重ね合わせ、自分なりのキャリア観を書いてみます。

 

1.ベンチャーでも大手でも成長なんてできない

2.ベンチャーの良さがあるとすれば?

3.一つだけ、お薦めするなら

 

1.ベンチャーでも大手でも成長なんてできない

ベンチャーと大手どっちが成長できますか?」という質問に対して最初に言いたい。「どっちでも成長できない。」

…「は?」という感じですが、至極当然だと思うんですよね。別に成長させてくれる環境がどこかに転がってるわけじゃない。「どっちが成長できるか?」という問いを持っているメンタリティが一番成長できないよ、と言いたい。

「大学デビューだ!」という言葉が象徴する、大学という夢の環境でなら新しい自分になれるみたいな幻想と同じメカニズムな印象。経営者が「あの研修受けたからこうなれた」って話して、「スゲー!それ受ける!」とみんながその研修を受け始める世界観とかキモチ悪くないですか?万人の成長に効く魔法の薬なんて無いし、ましてや入社前からそれがわかるハズもない。

じゃあ、どこ行けばいいの?その前に、この記事で言う成長の定義を整理してから行きましょう。成長を以下のような式で表します。

「成長=成長目的×到達可能性」

「到達可能性=スキルセット×スキル発揮度(メタスキル)」

※目的設定とか運とかありますがここでは割愛。

スキルセットがいわゆるマネジメントスキルやセールススキル系の特殊スキル。で、メタスキルが「環境変化や前提条件変化がある中で、いかに各スキルセットの発揮度を高めるか」というもの。イメージ、スキルセットがパワプロの各スキルで、メタスキルがケガしにくさ、かつメタスキルの占める割合がめっちゃ高い感じです。

で、ここで非常に重要なのが、「各スキルセット」が習得しやすく、かつ希少でないものになってきているので、ここで差が付く局面が少ないということ。できる人に聞けば良いし、しかも会社外にも簡単に聞けるので、会社ごとのスキル成長の差分はどんどん埋めやすくなってきています。

なので、差を付けるとしたらメタスキル側になってきます。こちらは「ロジカルコミュニケーション」「マインドセット」「フィジカル」などのベースのもの。かつ、こちらは「知り易く身に付け難い」ものなので、実践で差が出ます。

 

2.ベンチャーの良さがあるとすれば?

このメタスキルを付ける観点でベンチャーが良い点があるとすると、以下の2つだと思う。

「他人のせいにしにくい」「社員との相性のハズレを読める」

・「他人のせいにしにくい」

これは、ベンチャーがポジションが空いていることが多く、自分自身で責任を負わざるを得ないことから来ます。「ポジション数>人材量」であることが大事。この状況だと「仕事の変化が激しく起こり」「かつ仕事範囲を広げやすい。」

「スキル発揮度」を高めるために重要なのが、「仕事環境が変わる中で、自分のパフォーマンスを出す力。」そしてこれは市場の変化が激しい現代では当然必要。ベンチャーだと、この変化適応力を鍛えざるを得ない環境に置かれやすい。

 

・「社員との相性のハズレを読める」

もう1つメリットかもなと思うのは、自分が関わる社員の雰囲気や価値観を捉えやすいこと。こちらはどちらかというとリスクサイドを下げる話ですが、「合わない」リスクを回避しやすい。「誰と働くか」という問題は入社後にどうにかしにくい問題なので、そこは比較的メリットかと思います。

まあ、その環境をフル活用できるかは、結局自分のコミュニケーションだったりスタンスなりに依るので、あくまで「ハズレを読める」という言い方に留めてます。

 

3.一つだけ、お薦めするなら

ここまで「成長は自分次第である」論を中心に進めてきましたが、それでも気にして欲しいポイントがあります。それは1つだけ。

「伸びる会社か?」

つまり、変化の無い場所に行かず、変化の激しい場所に行って、どこでも適応できる力を付けよう!ということ。メタスキルを上げるには、「変化に対応する」という実践経験が欠かせません。変化する中で自分のパフォーマンスを出すスキル、それがあれば市場環境が変わる中でも対応していけます。逆に、ポジションも仕事内容も変わらない中で、いくら専門的なスキルを積んでも、ゲームルールが変わった瞬間にアウトになりかねない。

 

ベンチャーなのか大手なのか、というよりは、伸びるのか?という点を見てキャリア決めをしてみてください。