平凡情弱高学歴が、ベンチャーに行ってみて。

スローガン株式会社。セールス→キャリアアドバイザーチームのマネージャー→新卒採用担当。官僚志望だった平凡な東大生が、新卒でベンチャーに入ってみての話や、採用周りの話を綴ります。

『粗にして野だが卑ではない』を読んで。

書評も書いてみます。このブログのテーマは「挑戦する人、挑戦に賭ける人を増やす」ということなので、それに活きると思ったやつをピックアップして書こうと思います!

さて、このタイトルの言葉がめちゃくちゃ有名な、石田 禮助の人生を描いた小説ですね。


「粗にして野だが卑ではないつもり。ていねいな言葉を使おうと思っても、生まれつきでできない。無理に使うと、マンキーが裃を着たような、おかしなことになる。」(同著より)


この本では、家庭内外、社内外、国会問わず率直で「卑ではない」言動を取り続けた石田 禮助氏の生涯を綴っています。

幼少の頃から勝ち気。自分の人生には自分で責任を負って生きたいいう気持ちの元、地元のしきたりに逆らって東京商科大学へ進学し、三井物産へ入社。アメリカで支店長になってから頭角を現し、持ち前の率直な物言いと決して妥協しない責任感の強さを活かし、次々と新たなビジネスを開拓して売上を伸ばしていった。

そして三井物産代表取締役に就いてからも精力的に仕事に臨み、勝ち気にビジネスを伸ばしていった。

引退後は、株と農業に勤しんでいたが、国鉄総裁に打診を受けて就任。国には隷従のような立場を取っていたそれまでの総裁とは異なり、総裁として国会議員も完全に同志と見なした率直な答弁を続けた。国鉄内の雰囲気刷新にも躊躇わず、労使交渉でも常に「筋を立てる」「卑ではない」ことを貫き通し、否と思ったことは絶対に譲らなかった。

 

この本を読んで非常に印象に残ったことは、大きく分けると2つ。1つ目は、石田 禮助氏の決断における視野が常に未来を見据えていて、ブレのない自分なりの基準を持っているところ。常に率直に、かつ自らの心に偽りなく、将来成したいものに正直に選択を重ねてきた姿は力強く、読むだけで力を貰います。

そしてもう1つは、石田 禮助氏が高等学校を選ぶ際に、地元の集落では親の跡を継いで漁師になるのが通例だったところ、商業学校に進もうと決意する以下の一文。

「事は自分の人生にかかわる。一時は親を悲しませようとも、不本意な選択をして、不満のツケを生涯払い続けたくはない。事業家としての父をよろこばせるには、松崎の網元にならなくとも、外へ出て大きく金もうけしてみせればよいではないか。」(同著より)

1つ目と少し重なりますが、この"自らの人生は自らで決める、責任も自ら取る"という潔さが、共感や尊敬を呼ぶのだと思います。いやー、高校生の時にこんなこと考えてなかった。最近こうしたある人の人生全体にスポットを当てた本をよく読んでいますが、下手に自己啓発本やビジネス本読むぐらいならこっちの方が学び取れることは多いかと。で、これを日々に置き換えると、普段の暮らしから「誰かに反対されるから」「いつも〜してるから」「変えられないし」と、無意識に妥協していることって案外多いと思うんですよね。キャリアなんて大それたものじゃなくても、人と意見が合わなくなりそうだと思った瞬間の振る舞いや、何となく自分の熱量を上げられないまま取り組むプロジェクトなど。こうした小さな、実はどうにかできる決断機会に、「自分の信念」に則った言動ができているか。

『卑ではない』生き方をしよう、という強いメッセージがこめられた本でした。