大手とベンチャー、どっちが成長できますか?
ベンチャーか大手か。どっちの方が成長できますか?とよく学生さんから聞かれます。
今回は、こんな迷いを持ってる方向けに、自分自身が新卒でベンチャーに入ってみて良かった/困ったこと+キャリアアドバイザーとしてキャリア相談に乗る中で感じたことを重ね合わせ、自分なりのキャリア観を書いてみます。
1.ベンチャーでも大手でも成長なんてできない
2.ベンチャーの良さがあるとすれば?
3.一つだけ、お薦めするなら
1.ベンチャーでも大手でも成長なんてできない
「ベンチャーと大手どっちが成長できますか?」という質問に対して最初に言いたい。「どっちでも成長できない。」
…「は?」という感じですが、至極当然だと思うんですよね。別に成長させてくれる環境がどこかに転がってるわけじゃない。「どっちが成長できるか?」という問いを持っているメンタリティが一番成長できないよ、と言いたい。
「大学デビューだ!」という言葉が象徴する、大学という夢の環境でなら新しい自分になれるみたいな幻想と同じメカニズムな印象。経営者が「あの研修受けたからこうなれた」って話して、「スゲー!それ受ける!」とみんながその研修を受け始める世界観とかキモチ悪くないですか?万人の成長に効く魔法の薬なんて無いし、ましてや入社前からそれがわかるハズもない。
じゃあ、どこ行けばいいの?その前に、この記事で言う成長の定義を整理してから行きましょう。成長を以下のような式で表します。
「成長=成長目的×到達可能性」
「到達可能性=スキルセット×スキル発揮度(メタスキル)」
※目的設定とか運とかありますがここでは割愛。
スキルセットがいわゆるマネジメントスキルやセールススキル系の特殊スキル。で、メタスキルが「環境変化や前提条件変化がある中で、いかに各スキルセットの発揮度を高めるか」というもの。イメージ、スキルセットがパワプロの各スキルで、メタスキルがケガしにくさ、かつメタスキルの占める割合がめっちゃ高い感じです。
で、ここで非常に重要なのが、「各スキルセット」が習得しやすく、かつ希少でないものになってきているので、ここで差が付く局面が少ないということ。できる人に聞けば良いし、しかも会社外にも簡単に聞けるので、会社ごとのスキル成長の差分はどんどん埋めやすくなってきています。
なので、差を付けるとしたらメタスキル側になってきます。こちらは「ロジカルコミュニケーション」「マインドセット」「フィジカル」などのベースのもの。かつ、こちらは「知り易く身に付け難い」ものなので、実践で差が出ます。
2.ベンチャーの良さがあるとすれば?
このメタスキルを付ける観点でベンチャーが良い点があるとすると、以下の2つだと思う。
「他人のせいにしにくい」「社員との相性のハズレを読める」
・「他人のせいにしにくい」
これは、ベンチャーがポジションが空いていることが多く、自分自身で責任を負わざるを得ないことから来ます。「ポジション数>人材量」であることが大事。この状況だと「仕事の変化が激しく起こり」「かつ仕事範囲を広げやすい。」
「スキル発揮度」を高めるために重要なのが、「仕事環境が変わる中で、自分のパフォーマンスを出す力。」そしてこれは市場の変化が激しい現代では当然必要。ベンチャーだと、この変化適応力を鍛えざるを得ない環境に置かれやすい。
・「社員との相性のハズレを読める」
もう1つメリットかもなと思うのは、自分が関わる社員の雰囲気や価値観を捉えやすいこと。こちらはどちらかというとリスクサイドを下げる話ですが、「合わない」リスクを回避しやすい。「誰と働くか」という問題は入社後にどうにかしにくい問題なので、そこは比較的メリットかと思います。
まあ、その環境をフル活用できるかは、結局自分のコミュニケーションだったりスタンスなりに依るので、あくまで「ハズレを読める」という言い方に留めてます。
3.一つだけ、お薦めするなら
ここまで「成長は自分次第である」論を中心に進めてきましたが、それでも気にして欲しいポイントがあります。それは1つだけ。
「伸びる会社か?」
つまり、変化の無い場所に行かず、変化の激しい場所に行って、どこでも適応できる力を付けよう!ということ。メタスキルを上げるには、「変化に対応する」という実践経験が欠かせません。変化する中で自分のパフォーマンスを出すスキル、それがあれば市場環境が変わる中でも対応していけます。逆に、ポジションも仕事内容も変わらない中で、いくら専門的なスキルを積んでも、ゲームルールが変わった瞬間にアウトになりかねない。
ベンチャーなのか大手なのか、というよりは、伸びるのか?という点を見てキャリア決めをしてみてください。